（三）指導項目

 

１． 単語

（略）

 

２．注釈・文法

（１）なかなか

物事の状態・程度が予期した以上であるさま。

◆思っていた以上に。かなり。ずいぶん。

○なかなか難しい問題です。

○この人はなかなか手ごわいです。

◆（打ち消しの語を伴って）思ったとおりには。容易には。

○なかなかできない体験ができて、とても楽しいです。。 

○タクシーがなかなかつかまりません。

 

（２）埋め込み表現―こと

 　埋め込み表現とは、「どうする」「何がどうした」といった句または文相当ボ内容を持つ表現が別の文の主語や目的語などの要素になっているものをいう。例えば、「私は泳ぐことが好きです」の「泳ぐこと」は埋め込み表現である。

◆「こと」はさまざまな表現を名詞化する機能がある。

○彼はおいしいものを食べることが趣味です。

○あの建物のインテリアが美しいことは有名です。

○昨日大学で火事があったことを知っていますか。

○中村さんの妹が女優であることはみんな知っています。

 

「こと」は動詞、形容詞、形容動詞に接続する形は連体形であるが、名詞に接続する形は「N＋である」となる。また、埋め込み表現の中では、主題を表す「は」は使えない。これは名詞修飾節の中では主題を表す「は」は使われないためである。

（３）動詞の可能形

分類	例	可能形
		丁寧体	普通体
一段動詞	寝る   起きる	寝られます     起きられます	寝られる     起きられる
五段動詞	使う 書く 泳ぐ 話す 立つ 死ぬ 呼ぶ 読む 座る	使えます 書けます 泳げます 話せます 立てます 死ねます 呼べます 読めます 座れます	使える 書ける 泳げる 話せる 立てる 死ねる 呼べる 読める 座れる
サ変動詞	する	できます	できる
カ変動詞	来る	来られます	来られる

 

 

３．文型

（１）　可能表現

ある人物（またはそれに類するもの）がある動作や状態を実現する能力を持つ（または持たない）ことを表す表現を可能表現という。可能表現には動詞の可能形、「～ができる」、「～ことができる」（初級では扱うもの）などがある。可能は、動作主の持っている能力としての「～できる」能力可能と状況が許すから「～できる」という状況可能という分け方がある。

○私はまったく泳げません。（能力可能）

○今プールが改修中なので泳げません。（状況可能）

 

◆Nができる

Nは、する動詞の名詞部分（見学、練習など）や外国語、楽器、スポーツなどの名詞である。

○半年前は日本語がぜんぜんできませんでした。

○今日から、図書館のホームページで図書の予約ができます。

○A：王さんはどんな楽器ができますか。

B：バイオリンができます。

○A：あの電話で外国に電話ができますか。

B：はい、できます。

 

◆～ことができる

「こと」は動詞の辞書形に接続する。

○ピアノは何歳から習うことができますか。

○うちの子は1歳になりました。もう歩くことができます。

○工事が終わりました。今日からこの道を通ることができます。

○今は、誰でも教育を受けることができます。

①②は身体的・技術的な能力（能力可能）を表す。③④は、決まりや状況などで行為の実現が可能であること（状況可能）を表す。

◆動詞の可能形

○A：この荷物は全部一人で持てますか。

B：無理ですね。一人では持てません。

○A：刺身が食べられますか。

B：ええ、何でも好きです。

○先週の週末、忙しくてあまり休めせんでした。

○A：すみません。あした、このテスココートを使えますか。

B：はい、５時まで使えます。

●　他動詞の場合は、「コンピューターを使う」　　　「コンピューターが使える」のよ

うに、「を」は「が」に変わることが多い。

● 「～ことができる」と「可能動詞」はほどんど同じように使うことができる。ただし、「可能動詞」のほうが口語的。また、前後にほかの言葉がつくときや、動詞の単純な形ではない場合には、「～ことができる」のほうがよく使われる。

○疲れて、もう歩くこともできない。

○私は漢字を読むことだけはできますが、書くことはまだできません。

○試験中は隣の人と話したり、教科書を見たりすることはできません。

○この建物には、IDカードを持たないで入ることはできません。

● 可能動詞になる動詞は、人が意志をもってする動作の動詞だけである。人の意志に関係ない動詞（病気になる、困る、悩む、疲れるなど）は可能動詞にはできない。また、

主語が無情物の場合、能力を表すのに可能動詞を使わない。

○この鞄は大きいから、たくさん入ります。

○壊れたから、このおもちゃのピアノはもう音が出ません。

○壊れたんでしょうか。電気が付きません。

○電池が切れたから、おもちゃが動きません。

ものが主語になる場合と人が主語になる場合との比較：

○電池が切れたから、このおもちゃはもう動けません。（×）

○電池が切れたから、おもちゃが動きません。

○足が痛くて、私はもう動けません。　　　　　　　（○）

 

◆可能の意味のある動詞（わかる、見える、聞こえる、など）

もともと可能の意味をもつ自動詞を使った可能表現。可能形にする必要はない。

 

●Nが見える／聞こえる

　「自然とそうなる」という意味を持ち、目の前に現れた出来事をそのまま伝える場合などに使う。この場合可能形を使わない。

○めがねをかければ、小さい字もよく見えます。

○この教室から子供が遊んでいるのが見えます。

○もしもし、周りがうるさくて、声がよく聞こえません。

○隣の部屋からバンドの音が聞こえます。

　テレビ番組や試合・演奏などに意識的に注意を向ける場合には、可能形を用い、「見える／聞こえる」は使えない。

○上野動物園でパンダが見られます。

○携帯電話で天気予報が無料で見られます。

○このボタンで選べば、好きな曲が聞けます。

○やっとコンサートのチケットを手に入れた。これであの歌手の歌が聞けます。

●Nがわかる

　物事の意味や価値などが理解できる。もともと可能の意味を持っているので、可能形にする必要はない。

○説明を聞きましたが、使い方がわかりません。

○この言葉の意味がわかります。

○医者からもらった薬がわかる本がほしいです。

○言いたいことはよくわかります。