(四)指導項目
1. 単語
(略)
2.注釈・文法
(1)動詞の連体形
分類 | 例 | 非過去 | 過去 | ||
肯定 | 否定 | 肯定 | 否定 | ||
一段動詞 | 寝る 起きる | 寝る 起きる | 寝ない 起きない | 寝た 起きた | 寝なかった 起きなかった |
五段動詞 | 使う 書く | 使う 書く | 使わない 書かない | 使った 書いた | 使わなかった 書かなかった |
サ変動詞 | する | する | しない | した | しなかった |
カ変動詞 | 来る | 来る | こない | きた | こなかった |
◆日本の名詞修飾は大きく2つに分けられる。
①文の中のある名詞句を修飾する名詞修飾
Ⅰ田中さんは食堂でラーメンを食べています。
枠で囲んだ3つの名詞句が含まれるが、それぞれの名詞句を修飾する名詞修飾節を次のように作ることができる。
○食堂でラーメンを食べている田中さん
○田中さんが食堂で食べているラーメン
○田中さんがラーメンを食べている食堂
このような名詞修飾をうちの関係の名詞修飾と呼ぶ。
②文の要素以外を修飾する名詞修飾
Ⅰ田中さんは食堂でラーメンを食べています。
上記の文を使ってつぎのような名詞修飾節を作ることもできる。
○田中さんが食堂でラーメンを食べているといううわさ
○田中さんが食堂でラーメンを食べているという理由を知っていますか。
「うわさ」「理由」などの名詞句はⅠの文にどのような格助詞を用いても入れることができない。このような名詞修飾を外の関係の名詞修飾と呼ぶ。
◆名詞修飾にはつぎのような制限がある。
○ホワイトハウスはアメリカの大統領が住んでいる建物です。
○田中さんは利用するけど小林さんは利用しない食堂を知っていますか。
○太郎さん(が/の)書いた手紙を見ました。
○太郎さんが夏休み中に一生懸命に書いた手紙をなくしました。
○あのメガネを(かけている/かけた)人は山下さんです。
名詞修飾節において、主題を表す「は」は使えない。しかし、対比を表す「は」であれば使える。名詞修飾節内のガ格は「の」で言い表すこともできる。このような交替をガ・ノと呼ぶが、ガ格名詞句と修飾される名詞との間にいろいろな語句が入っている場合にはガ格のほうが自然である。また、「(メガネを)かける、痩せる、(青い目を)する、腐る」など、家の関係の名詞修飾節内で使われた場合、タ形とテイル形のどちらでも同じ意味を表す動詞があり、その名詞修飾節は非修飾名詞の状態を表す。
(2)だけ
◆体言,活用語の連体形および一部の格助詞などに付く。その事柄に問題の範囲を限定して,特に取り上げるのに用いられる。
○あなただけに話したいです。
○読むだけでわかる世界史です。
○財布に100円だけ入っています。
○この仕事は2人だけでできます。
3.文型
(1)V(連用形)たことがあります。
「~たことがある/~たことがない」は経験の有無や経歴を述べる表現である。
◆「~たことがある」は発話時(「~ことがあった」の場合は基準時)以前に「~」で表される行為をした経験があるということを表す。
○私は小さいごろ手術を受けたことがあります。
○私は風邪を一度も引いたことがありません。
○A:今までライブを見たことがありますか。
B:いいえ、1度もありません。
○A:富士山に登ったことがありますか。
B:はい、何度もあります。
◆「~」部分には制約がある。
Ⅰそのことが当たり前のことではないこと
Ⅱそのことが行われた時期が基準時とある程度以上隔たっていること
○私は風邪をひいたことがあります。(Ⅰの制約に抵触する)
○先週アメリカに行ったことがあります。(Ⅱの制約に抵触する)
一方、「~ことがない」は「~」で表される経験を持たないということを表す。この場合、Ⅰの制約はなく、「風邪を引いたことがない」は正しい。これは「(誰でも引く)風邪を引く」という経験を持たないということはその人の経歴として述べる価値がある内容であるからだ。
◆辞書形(ただし、ANな・である、Nの・である)ことがある
「~」で表される動作や出来事が行われる/起こる場合があるということを表す。時々あるということを表す。
○田中さんは友人とお酒を飲みに行くことがあります。
○この店は日曜日が休みのことがあります。
(2)(連用形)たり(連用形)たりします
◆複数の動作から並列的に例を挙げる場合に使う。
○休みの日、よく映画を見たり、買い物をしたりします。
○先週の日曜日、本を読んだり、運動したりします。
○子供たちは水遊びをしたりしています。
○この頃雨が降ったり強い風が吹いたりして、寒い日が続いています。
動詞1つだけで、「Vしたりする」形で使うことも可能である。この場合も他の動作(例えば、ボール投げをする)を暗示す点は同様である。一種の婉曲表現として使われることが多い。
◆反対の動作・作用や状態を繰り返すことを表す場合に使う。「AかったりAかったりします(です)」「AN/NだったりAN/Nだったり」します(です)
○エレベーターが上がったり、下がったりします。
○赤ちゃんは笑ったり、ないたりして、かわいいです。
○この頃、暑かったり、寒かったりで、洋服選びが難しいです。
○彼は学校に来たり、来なかったりします。
動詞の場合、2つの対立する動詞(出る、入る、行く、来る、上がる、下がる、など)を使う。同じ動詞の肯定形と否定形を並べて使う場合もある。
(3)V(連用形)たほうがいいです
◆「ほうがいい」はある行為をすることが望ましいことを述べる表現である。
○A:ちょっと頭が痛くて…
B:顔色が悪いですね。一日休んだほうがいいですよ。
○(空を見ながら)今日は傘を持っていったほうがいいかなあ。
○外食するより自分で量を作ったほうがいいですよ。
○寝る前には食事しないほうがいいです。
聞き手の行為について用いると勧めと忠告の意味になるが、自分の行為に用いる場合も一般論として述べる場合もある。
◆「ほうがよかった」の形で過去形の行為について述べると、その行為をせず別の行為をしたことに対する後悔や不満の意味を表す。
○(車で渋滞にあって)電車で行った方がよかったなあ。
○花より食べ物を買ってきてくれた方がよかったんだけど。
◆「~ほうがいい」が動詞の辞書形に接続した形もあり、タ形に接続した形とほとんどの場合置き換えられる。ただし、傾向としては、前者は一般論を述べるときによく用いられ、具体的・個別的な場面では後者のほうが圧倒的に多く用いられる。
○熱があるときは厚着をするほうがいい。
○(熱がある人に)厚着をしたほうがいいですよ。
(4)普通体(N/ANだ)+でしょう(確認)
◆話し手の考えが正しいかどうかを聞き手に確かめる。つまり、確認を表す用法がある。確認とは出来事の内容について話し手がある程度確信を持っているものの、完全な自信がないため、聞き手に尋ねてその真偽をはっきりさせたい場合に使われる表現である。
○このセーターは私にあうでしょう。
○田中さんもハイキングにいくでしょ。
○向こうに赤い家が見えるでしょう。あれが僕の家ですよ。
○A:母さん、はさみはどこ?
B:ほら、机の上にちゃんとあるでしょ。
この用法の場合、「う」が落ちて「でしょ」になることもある。また、イントネーションは通常上昇調になる。

