
端午節とは旧暦5月5日の節句のことです。現在の暦だと5月下旬~6月中旬になります。
2019年の端午節は6月7日で、中国では5月28日~30日の3日間が休日(3連休)となっています。
ここでは端午節の由来となった屈原などについて、それから端午節の食事やドラゴンボートレースなどについても解説しています。
一、端午節と屈原

端午節とは旧暦5月5日の節句のことで、ちまきを食べたりドラゴンボートレースをするなどの行事がありますが、この日のいわれについては諸説あります。もっともよく知られているものは、戦国時代(BC403~BC221)の楚の政治家でこの時代を代表する詩人でもある屈原をしのぶ日というものです。屈原は愛国者でしたがその進言が国の上層部に聞き入れられることなく、彼は楚の将来に絶望して汨羅江(べきらこう)という湖南省の北部、長江支流の川に身を投げ自殺してしまいます。民衆は彼を救おうと船を出し、遺体を魚から守ろうと米を投げ入れ、これらが後のドラゴンボートレースやちまきを食べる習俗になったと言われます。
もう一つの説は古代中国の長江中・下流の地域および南方では龍のトーテムを崇拝する民族がいて、彼らがそのトーテム(シンボル)を祭ったことに由来するというもの。ドラゴンボートはまさに龍の船です。
また5月5日というのは、ちょうど暖かくなり疫病の流行りやすい時期であったため、古来悪月悪日であり不吉な月日だった、そこでこの日に「疫病」を追い払う行事を行うようになったというもの。端午の節句では昔からヨモギや菖蒲などを門にさして邪気を払う習俗があるのですが、これなどはこのいわれに起源があるようにも思えます。
二、端午節の食事「ちまき」

粽(ちまき)は中国語では、もち米の中に餡を入れて笹の葉などでくるみ、蒸して食べます。中国では古くから節句、特に端午の節句のお祝いに食べられてきました。中に入れる餡は棗(なつめ)、小豆(あずき)などですが、肉入りの塩味ちまきもあります。形も三角形や斜めになった四角形など、地域によっていろいろあるようです。日本にも伝わり、日本ではかつては茅(ちがや)で巻いたため「ちまき」と言われるようになったということです。
三、ドラゴンボート

ドラゴンボートとは長細い船で、船首に龍の頭の飾りがついているものです。端午節には各地でドラゴンボートレースが行われています。
端午の節句に行われるドラゴンボートレースは中国では(龍船試合)と言います。 (龍船)は細長く、首と尾に龍(ドラゴン)の装飾があり、漕ぐ人以外に必ず太鼓をたたく人が乗ります。この太鼓手がたたく太鼓の音が船をこぐタイミングやスピードを決めるのです。このレースは端午の節句の伝統行事以外に、正式なスポーツとしても行われています。ちなみに長崎でも夏祭りの一つとして「ペーロン競漕」が行われますが、これは中国のドラゴンボートレースが伝わったものと言われます。長崎ではなぜ「ペーロン」と言うのか、このいわれにもいろいろあるようですがその一つは “白龙”(白龍)から来たというものです。中国の南方には、屈原の死を悼んで漕ぎ手は白い衣装を身に着けるという場所があるそうで(中国で葬儀の衣装は白)そうした船を“白龙”と言ったのかもしれません。


