三、杜牧の漢詩
次は晩唐(9世紀)の詩人杜牧の有名な七言絶句をご紹介しましょう。
清明
清明
杜牧
杜牧
清明時節雨紛紛
清明の時節 雨紛紛
路上行人欲断魂
路上の行人 魂を断たんと欲す
借問酒家何処有
借問す 酒家は何れの処にか有る
牧童遙指杏花村
牧童 遙かに指す 杏花の村

(現代語訳)
清明節のころ雨がしとしとと降ってくる
道を行く旅人はなんとも気が滅入る思い。
お尋ね申す 居酒屋の場所を教えてくれぬか
牛飼いの少年がはるか遠く杏の花咲く村を指さす
目录

清明節とは毎年4月5日前後にやってくる節句で、2019年の清明節は4月5日です。春たけなわ。天地に清らかで明るい命のいぶきが感じられる日々です。そこで清明節と言うのだそうです。この節句の起源も古く、周代(BC1046年頃 - BC256年)に始まると言いますから2500年ほどの歴史があることになります。
清明節と言えばお墓参りの日、中国語では“扫墓 sǎomù”と言います。日本で言うならお彼岸かお盆になります。日本ではお墓参りは命日、お彼岸、お盆と年に何回かする人も多いでしょうが、中国では基本清明節だけです。
またこの日は“踏青节 tàqīngjié”とも呼ばれ、春のピクニックの日でもあります。
さらにはかつては“寒食节 hánshíjié”とも呼ばれ、熱々の食事を愛する中国人が温めていないものを食べる日でもあったとか。
そこで体を冷やしてはいけないという工夫でしょうか、この日はブランコに乗ったり、蹴鞠をしたり、凧揚げをする日でもあったようです。

お墓参りのことを“扫墓”(墓を掃除する)と言い表すように、まず草をむしったり土を新たに盛ったりしてお墓をきれいにします。
それから食べ物やお酒などのお供えをし、本物ではない紙のお金(“纸钱 zhǐqián”)を焼きます。亡くなった家族があの世で暮らしに困らないようにという思いからです。
次は晩唐(9世紀)の詩人杜牧の有名な七言絶句をご紹介しましょう。
清明
清明
杜牧
杜牧
清明時節雨紛紛
清明の時節 雨紛紛
路上行人欲断魂
路上の行人 魂を断たんと欲す
借問酒家何処有
借問す 酒家は何れの処にか有る
牧童遙指杏花村
牧童 遙かに指す 杏花の村

(現代語訳)
清明節のころ雨がしとしとと降ってくる
道を行く旅人はなんとも気が滅入る思い。
お尋ね申す 居酒屋の場所を教えてくれぬか
牛飼いの少年がはるか遠く杏の花咲く村を指さす