
一、元宵節の由来
元宵節の由来は漢代にさかのぼります。漢の文帝が正月の15日、戦いに勝利したことを民衆とともに祝おうとして始まった行事だそうです。その後道教や仏教の行事と混じり合い、今の元宵節になっていきます。隋、唐、宋と時代が下るとともにさらに大きな行事になり、町のあちこちに火をともした提灯が飾られるようになりました。そこで元宵節のことをとも言うようになり、海外では「ランタンフェスティバル」として知られています。
二、さまざまな催し

かつて女性が夜外を歩くことが禁じられていた時代、このお祭りの日は男女とも朝まで歩きまわることが許され、色とりどりの提灯で飾られた通りには獅子舞やら龍の舞やら高足踊りやらたくさんの出し物もあって、さながら現代のカーニバルのようだったと言われます。
三、元宵というお団子

元宵節の日に食べるお団子に「元宵」というものがありますが、これは普通のお団子ではありません。普通のお団子は粉をこねて作りますが、元宵はもち米粉の入ったざるにゴマ餡や小豆餡、ピーナッツ餡など核になるものを入れ、ざるを揺すって餡を転がし粉をまぶしていきます。これをゆで浮き上がってきたら出来上がりです。食べればわかりますが、日本で食べる白玉団子などとは舌ざわりがまったく違い、まるで繭(まゆ)を食べているかのようで舌先でとろけていきます。元宵節の夜、北京のレストランで初めて元宵を食べた時のそのとろける舌ざわりと中から出てきた黒ゴマ餡の美味しさは忘れられません。今は元宵節以外でも食べられると思いますのでぜひお試しを。ちなみにこのお団子を中国の北方ではと言いますが、南方や台湾ではと言っています。
四、元宵節を祝う地域

十年ほど前、元宵節の華やかなにぎわいを見たくて北京に行ったことがあります。2月の北京はそれはそれは寒く、みぞれまで降っていました。その寒さの中を美しい灯ろうをさがしてさまよい歩いたのですが、大通りにも路地裏にもその気配がありません。がっかりしてホテルに戻りフロントで聞くと「元宵節?あああれはテレビで見るものだよ」という返事。
中国から元宵節は消えてしまったのか…と残念でなりませんでした。ところがどうやら場所によっては盛んにお祝いしているようです。北京の前門、上海の豫園や台湾などではずいぶん大々的に元宵節のお祭りをしているということで、どこの家でもクリスマスツリーのように提灯を飾ってお祝いしているという元宵節に対する私のイメージが間違っていたようです。ところでこのお祭り、日本でも行われているんですね。長崎のランタンフェスティバルは同じ元宵節の日に街の中心部に1万5千個ものランタンや大型オブジェが飾られるそうです。

